高知医療学院 卒後研修センター
ゴールは、卒業や資格取得だけではない。
理学療法士としての第一歩が、新たなスタートの始まり。
卒後研修センターで「脳のリハビリテーション」を学ぶ。
理学療法はリハビリテーション医療の一翼を担う専門技術として大きな発展を遂げてきましたが、医療の進歩や社会情勢の変化、それに伴う医療技術の高度化や専門化を考えると、現在の学校教育では充分とはいえません。
そこで高知医療学院では、若い理学療法の生涯学習を援助する目的で1995年に全国初の試みとして、卒後研修センターを開設しました。
開設後約25年の経過の中で、約205名の研修生が研修を終了しています。
開設から19年を迎えた高知医療学院卒後研修センター
について第11期研修生に聞いてみました。
卒後研修センターでの研修を希望した動機について聞かせて下さい。
- 石川
- 私は、学生時代に愛宕病院で臨床実習を受講しました。その時に、スタッフの皆さんが臨床や研究にまじめに取り組んでいる姿を目の当たりにし、卒業したら愛宕病院に就職したいと決めていました。そして何より、リハビリテーション科の雰囲気の良さにも惹かれ、スタッフの一員になりたいと思ったからです。
- 中東
- 私も石川君と同様に、学生時代に愛宕病院で臨床実習を受講しました。その中で、スタッフの臨床業務に取り組む姿勢や、特に認知運動療法に興味を持ったからです。その認知運動療法について、もっと学びたいと強く感じ、研修センターでの研修を希望しました。
- 日岡
- 私は、徳島県の出身です。地元に帰ることも考えましたが、学生時代の卒業研究への取り組みを通して、研究に興味を持ちました。母校が開設している、卒後研修センターでは、各種の研修が受講できる点やリハビリテーション科のスタッフや学院の講師より研究指導を受けられる点に魅力を感じ、希望しました。
この1年間の研修を受けた感想を聞かせてください。
- 石川
- 学生時代の印象と同様に、実際にスタッフの皆さんは臨床や研究にまじめに取り組んでおり、私も学会発表への取り組みを通して、その大変さを実感しました。しかし、先輩方より的確なアドバイスや計画的な指導を受け、何とか頑張ることができました。
私もリハビリテーション科のスタッフの一員になれて、本当に良かったと実感しています。 - 中東
- 私も先輩方から学ぶことが多かったです。興味を持った認知運動療法について、講義や実技指導など受けることができました。また、私が興味を持ったことに対して、意見交換の場面を設定してくださったり、方向性の指導など納得のできる1年間だったと振り返ります。
- 榎本
- この1年間の研修プログラムを受講して、臨床の難しさを実感しました。それには、学生時代に学んだ基礎知識の重要性の再確認はもちろんのこと、応用的な知識としての臨床実践の難しさがあります。先輩方の各症例に対して、的確にプログラムを実践している姿を目の当たりに、この一年間で、少しは自信がつきましたが、もっと頑張らなければと、意欲的に考えています。
- 日岡
- 私の興味を持った研究に関しては、症例を通してデータ収集や結果分析など、学生時代の予想以上に大変さと、学会発表を通しての達成感も実感できました。ただ、私は、この1年間で1回の発表でしたが、先輩方は年間で数回発表されたり、経年的な研究に取り組まれたりしていますので、私ももっと頑張りたいと思っています。
開設から25年目。月日の経つのは早いものです。研修センター主任として、開設より微力ながら携わってきましたが、卒業生が研修を経て、立派に成長していく過程を目の当たりにして、私自身も共に成長させてもらっています。
研修生は、高知医療学院の卒業生に限らず、他校出身生も受け入れています。医療従事者にゴールはありません。変わり行く医療社会に対応していくために、この高知医療学院卒後研修センターでは、生涯学習の援助をしていきます。
認知運動療法の指導
高知医療学院卒後研修センターでは、イタリアの神経医Carlo Perfetti教授により提案されている「認知運動療法(Esercizon Terapeutico Conoscitivo)の指導をしています。認知運動療法は「運動機能回復を病的病態からの学習過程である」と考える認知理論に基づいた最新のリハビリテーション治療法として、近年のヨーロッパ諸国で注目されています。認知(Cognition)とは、脳機能の再編成であり、自己と外部環境との新しい相互関係を確立してゆくことです。認知運動療法では、さまざまな治療器具を用いて、麻痺した手足の運動機能回復に取り組みます。脳卒中方麻痺や脳性麻痺を中心とする中枢神経疾患や各種の整形外科的疾患に幅広く適合することができます。